カテゴリー別アーカイブ: 遺品整理現場の出来事

家族の絆

過日84歳のご婦人から 

写真他 身の回り品を お預りさせて頂きました

他界された 50数年来の伴侶であったご主人の

思い出のお品が そこにはありました

 

お預りした際 いくつかの それぞれの箱の上に

きれいな紙に毛筆で こんな言葉が書いてありました

 

『 長い間 ご苦労様でした

               さようなら 』

 

私はその有り様を見て 感動しました

伺いましたところ 写真においては

 

「 たかが紙 小さな写真ですけど 思い出がつまっております

同じ写真を娘にひとつ 託しました 

それは 父親の働いている姿と 宴会ではしゃいでる姿を

どうか いつまでも胸に刻んでいてほしい という思いから

そして もうひとつ同じ写真を 

これから先も 自分でずっと 持ち続けていたいと思ったからです

でも この度 3回忌の節目にあたり

これをもって 無に還そうと思いました 」

 

・・・と 穏やかにお話しをして下さいました

お顔には きっぱりとした清々しさが 漂っていました

 

私は 家族の絆っていいな 素晴らしいなと

感銘を受けました

 

慎んで お焚き上げ供養をさせて頂きます

 

ご婦人からアンケートが届いておりますので ご紹介いたします

 

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『偲ぶ会』

過日 片付けられたお部屋で

故人様を「偲ぶ会」を 急遽執り行ったことがあります

ご依頼人様は その家の大家さんでありました

 

施行している間 お身内はじめ ご近所の方々が多数 花束を持っておいでになり 

大家さんは じっとその光景を 最後までご覧になっていらっしゃいました

 

私共は お部屋を片付ければ それにて完了ではありますが

この場合 そのまま失礼するにはいきませんでした

 

そんな最中(さなか) 大家さんから 

せっかく皆様がお集まりになっておりますので

この場で 「偲ぶ会」を整えて頂きたい

というご要望を 頂戴いたしました

 

このお部屋の主は 豊かな人情の中で

日々お暮らしになられていたんだなと感じ入り

慎んで 「偲ぶ会」の司会を勤めさせて頂きました

 

後に大家さんから お手紙を頂き とても嬉しく思いましたので

ここで紹介させていただきます

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赤いゼラニウム

先日千葉の東の方へ見積りに行って参りました

海の近くで 雪が溶けずに残っているくらい 寒い場所でした

居住は古いマンションの1階でした

ご依頼人様は 故人様の娘様

見積りには車で17時頃 ご家族で到着されました

ご夫婦と息子さんお2人の4名でした

男の子は中学生くらいでしょうか

右手に包帯をされていました

車から降りてきたのは ご夫婦と包帯をされた息子さん3人

もう一人の息子さんは 車の中で待機 降りてきませんでした

 

「築40年の古いマンションに 母はずっと一人暮らししていました

物を捨てられない性分で この様になってしまいました・・・」

静かな優しい声で 奥様はそうおっしゃいました

お部屋を全て見てみましたが それ程ではありませんでした

奥様ご自身でタンス等の中身を袋詰めされていたようで

和室一部屋は 几帳面に梱包された袋で埋め尽くされていました

大切に使われていたと思われるような まだきれいな家具でしたが

全て処分して欲しいとのことでした

 

小さなベランダのいちばん奥に ゼラニウムの赤い花が咲いていました

「 ほら 見てごらん まだ花が咲いているよ

       お祖母様 きっとまだ ここにいるよ 」

息子さんに声をかけると 

ベランダを覗いて ふと まだ小学生のようなあどけない笑顔を見せてくれました

その息子さんを見たお父様も 笑みを浮かべていました

花には 人を笑顔にし 人を優しくする 不思議な力があるものです

きれいに並んだ鉢を見て 

お祖母様も きっと お優しい方だったのだろうと 感じました

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俳句本

「祖父が亡くなったので 部屋の中のもの全て 処分してほしいのですが」

と 電話口で 少し強い口調でお話しされる姪っ子さん

さっそく横浜までお見積りに伺いました

待っていたのは姪っ子さんお一人

「何も片付けしていません」と言いながら

早足でお部屋を案内してくれました

お部屋の片づけいっさいを任されたそうです

「親も私も 相続放棄を宣言したんです」とおっしゃっていました

何かいろいろな家庭事情がおありのようでした

2DKのマンションで お一人暮らしだった故人様

姪っ子さん「もう ほんとうに荷物が多くてすみません」とおっしゃいましたが

男性一人暮らしなのに とても整理されたお部屋でした

レコードがたくさんあり

趣味を楽しんでいたようでした

押し入れや本棚には たくさんの俳句本や文芸春秋

私は押入れの前に座り その本をしばらく眺めた後

「 はぁ これはこれは おじい様 とても勉強家だったのですね 」

そう言うと 姪っ子さんもようやく椅子に腰かけ

俳句本に手を伸ばし ぱらぱらとめくり

しばらく黙っておられました

おじい様が亡くなって目まぐるしく時間が過ぎていったことでしょう

そう きっと 一息もつく暇なく・・・

前に引っ越しの時 運送屋さんが家財を落として破損してしまったので

信頼のある業者を紹介してほしいと 葬儀社さんに頼んだとお話ししてくれました

「責任も持って おじい様のご遺品 扱わせていただきます」

そう言った翌日 ご依頼決定のご連絡をいただきました

作業当日 全てを運び出し 空になった押入れを眺めながら

故人様 姪っ子様 そのご両親が いつか きっといつの日か

一つになれることを 心から願ってやみませんでした

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日溜まり

先日、とある東京都内、遺品整理の見積りにお伺いしました。

お一人暮らしのお母様を亡くされ、埼玉に住む娘様が二日前に来て 部屋を整理しているとのことでした。

部屋に入るとたくさんの袋詰めされたご遺品の数々。

物静かで優しい話し方をする娘様。

二日間お一人で静かにお母様と向き合う心中はいかばかりかと拝察いたします。

少々お疲れ顔でございました。

これだけのご遺品を片付けるのに物音もすることでしょう。

隣家より「うるさい!」とお叱りを受けたそうで。

そのせいなのか、昼間から雨戸が締め切りでした。

出来るだけ音がもれないようにと配慮しているようでした。

建物の壁が薄いのか、隣の音もよく聞こえました。

私達も声をひそめて見積もりを致しました。

ご遺品を運び出す際は、できるだけ隣家の方にご迷惑のかからないよう、十分気を配ることをお伝え致しました。

30分くらいお話しさせていただきました。

最後に「今日帰ります。」とおっしゃった娘様のお顔には、ほんの少し笑顔が見受けられました。

そして私どもの車を 見えなくなるまで見送って下さいました。

遺品整理当日、良いお天気に恵まれました。

当日も雨戸を閉めたまま 静かにご遺品を運び出した後、最後に雨戸を開けると 陽の光が差し込みました。

この日溜まりをしばらく眺めておりました。

この日も故人様、ご依頼人様のお心が晴れて一安心されるのであるならば、人様のお役に立つ事が出来て、これも仕事冥利に尽きるというものでございます。

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