日溜まり

先日、とある東京都内、遺品整理の見積りにお伺いしました。

お一人暮らしのお母様を亡くされ、埼玉に住む娘様が二日前に来て 部屋を整理しているとのことでした。

部屋に入るとたくさんの袋詰めされたご遺品の数々。

物静かで優しい話し方をする娘様。

二日間お一人で静かにお母様と向き合う心中はいかばかりかと拝察いたします。

少々お疲れ顔でございました。

これだけのご遺品を片付けるのに物音もすることでしょう。

隣家より「うるさい!」とお叱りを受けたそうで。

そのせいなのか、昼間から雨戸が締め切りでした。

出来るだけ音がもれないようにと配慮しているようでした。

建物の壁が薄いのか、隣の音もよく聞こえました。

私達も声をひそめて見積もりを致しました。

ご遺品を運び出す際は、できるだけ隣家の方にご迷惑のかからないよう、十分気を配ることをお伝え致しました。

30分くらいお話しさせていただきました。

最後に「今日帰ります。」とおっしゃった娘様のお顔には、ほんの少し笑顔が見受けられました。

そして私どもの車を 見えなくなるまで見送って下さいました。

遺品整理当日、良いお天気に恵まれました。

当日も雨戸を閉めたまま 静かにご遺品を運び出した後、最後に雨戸を開けると 陽の光が差し込みました。

この日溜まりをしばらく眺めておりました。

この日も故人様、ご依頼人様のお心が晴れて一安心されるのであるならば、人様のお役に立つ事が出来て、これも仕事冥利に尽きるというものでございます。

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